ブログ
2021年5月24日
屋根瓦は 葺き替え or 塗装
外壁塗装と一緒に屋根も塗装をと検討される方も多いでしょう。うちの屋根は最近主流の薄い瓦(スレート瓦)ではなくて、昔ながらの瓦の形をしているからメンテナンスはどうしたらいいのかわからない、と悩まれていませんか。
今回は、屋根瓦のメンテナンスについて葺き替えが適切なのか塗装がよいのかも含めて詳しく見ていきましょう。
屋根瓦の種類
瓦は形成方法の違いから、大きく2つに分類されます。
粘土系瓦
粘土系の瓦は和瓦とも言われます。いぶし瓦・無釉瓦・陶器瓦等の種類があり、昔ながらの日本家屋や日本建築の城や寺社等に使われていることが多いです。
粘土系瓦は他の屋根材よりも重く、スレート瓦は平均約24kg/㎡に対して、和瓦は平均約45kg/㎡もあります。そのため、台風などの強風には強いですが、耐震性は他の屋根材に比べて低くなります。
粘土を瓦の形にかたどり、高温で焼き上げて製造されていることから、陶器のように耐久性の高いものができあがります。衝撃を受けるとひび割れしてしまいますが、基本的には瓦のメンテナンスは不要です。ひび割れなどで破損した瓦の補修には、部分葺き替えを依頼しましょう。
セメント系瓦
セメント系の瓦には、セメント瓦やモニエル瓦があります。和瓦と違い粘土を焼き上げているのではなく、セメント、砂、水を混ぜ合わせ、モルタルのようにセメントの化学反応で硬化させた瓦です。
セメント瓦表面にはモルタル同様に、色、艶がなく防水性もないため雨水をそのまま吸い込んでしまいます。そのため、塗装が必要になります。
モニエル瓦はヨーロッパ発祥のセメント瓦で、通常の瓦とは違い表面に「スラリー層」という着色したセメントの液(ペースト)が薄く吹き付けられています。塗装の際は表面のこの劣化したスラリー層をしっかりと取り除いてから施工する必要があります。
セメント系瓦は塗装しないとどうなる?
粘土系瓦(和瓦)には塗装メンテナンスが必要ありませんが、セメント系瓦は塗装メンテナンスが必要です。塗装メンテナンスをしなけば一体どうなるのでしょう。
セメント系の瓦で塗装を行わなかった場合、表面の素地がむき出しの状態になるため、塗膜の劣化が進み雨水を吸収し乾湿の繰り返しや凍結により、少しの衝撃でも割れやすくなってしまいます。つまり、ひび割れや破損をした状態となってしまうのです。ひび割れから雨水が浸入し雨漏りにつながってしまったり、瓦の破片が落下するなどの被害も起きてしまいます。
セメント系瓦の塗装メンテナンス
瓦塗装メンテナンスの最大のメリットは、他のメンテナンス方法よりも安価なことです。塗装以外のメンテナンス方法は、屋根材の葺き替えがありますが、費用が数百万円以上かかってしまいます。とりあえず10年前後持たせたいという方には塗装がおすすめです。
セメント瓦の塗装のポイント
①下地処理を丁寧に行う
モニエル瓦には表面にスラリー層というセメントの液(ペースト)が吹付けられた層があります。その他にも苔やカビ等の汚れが付着していますので、ケレンや高圧洗浄でしっかりと汚れを取り除くことが大切です。凹凸も多く少々手間な作業ですが、しっかりと丁寧に行うことで塗膜剥離等の不具合を防ぐことができます。
②下塗り調整塗料を十分に塗布する
下地処理を十分に行った瓦は、セメントの素地がむき出しの状態になることが多く、下塗り材を吸収します。想定していた下塗り材の量を塗布し終わっても吸い込みが止まらない場合は、もう一度塗布します。
下塗り材が十分でないと上塗材との密着不良が起き、耐久性も本来の効果を発揮できなくなりますので、下塗り調整塗料は十分に塗布しましょう。
まとめ
瓦には粘土系の瓦とセメント系の瓦の2種類があることがわかりましたね。粘土系瓦の場合は耐久性が高く表面から水を吸い込むこともないので塗装の必要はありません。一方で、セメント系の瓦の場合は表面を塗装で保護する必要があります。メンテナンスを長期的に考える場合は葺き替えの選択もありますが、費用をできるだけ抑えたい場合は塗装でメンテナンスは十分可能です。その際は下地処理を時間をかけて丁寧に行うことがポイントとなってきますので、専門の熟練した技術を持つ業者へ依頼すると安心でしょう。
カテゴリ:屋根